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施主様インタビュー 袖ヶ浦市真光寺住職 岡本和幸様 - 前編

■2021/09/03 施主様インタビュー 袖ヶ浦市真光寺住職 岡本和幸様 - 前編
この記事は、令和2年10月28日にインタビューしたものです。


古民家再生に見られる保川さんの建築スタイル、
偶然に知ったとはいえ、いい出会いとなりました。


 今まで通りだと寺を維持できない状況のもと、人がたくさん集まり、社会のニーズに応えられるような寺院にしていかなければならないと一念発起し、工事を始めることにしたんです。平成8年のことです。私は、もともと東京の寺で文化活動に力を入れていました。平成6年にこの寺に入ったんですが、山裾にあった本堂と庫裡は、排水路はないし、天井、床はボロボロ、一部の窓は板戸しかない、ひどい状態でした。それで、自ら大工をやって、2年かけてU字溝を埋めたりして排水から何から何まで直したんです。やったことなかったけど生活がかかってましたから、もうやらざるを得ないわけです。それがこの寺の再生のスタートでした。

 そうして東京から人を呼び込んで坐禅会とか、山芋掘りとか、いろいろな活動をやっていたわけです。ところが、宿泊施設がボロだと2回目は来てくれないんです。お風呂なんかね、境内に穴を掘りブルーシートを張ってお湯を注ぎ、熱いうちに入れってね。若かったから私は楽しかったですが、これじゃ2回目は来てくれませんよね。寺の檀家は60軒しかないないわけで、年収も少ない。これじゃやっていけませんよ。そうするとね、出稼ぎをするのか、ここをなんとかするのかの2択、それしかないわけです。それで私はここをなんとかする方に舵を切ったわけです。そこから里山の再生、棚田の再生とかいろいろと試行錯誤を重ねてきました。本堂裏山は鬱蒼 とした竹林でしたが6年かけて伐採し、山の整備を行いました。そして20年くらい前にとある東京のお寺さんの協力を得て、これからどういう寺院にするか今後の計画を練ったわけです。
 
16、7年前に開発が始まってこの庫院ができるところまで来たところで、なんと建築会社が倒産しちゃったんです。それで書院と薬師堂(慈嶽堂)が完成させられず残ってしまいました。計画では、書院は古民家を移築することも考えていたんです。そのために山梨県の大きな古民家の材料を買って、それをここに持ってきて建てようとしたんです。2階建てになるんですが、広間みたいなところが必要だったもので1階は集会所、2階は位牌堂にするつもりでいました。古民家ならではの太い柱を据えて造ろうって夢があったんですよ。結局はお金がかかりすぎるとわかって移築は断念しましたけど、今でもその夢は捨ててはおりません。

この寺に来て私は本堂で古民家再生をしてたわけです。自分で本堂を直してたんです。古い柱を切って、そこに須弥壇(仏像を安置する台)を造って据えたりとそんなことまでやっていました。当時は古い本堂の良さも十分にわかっていました。囲炉裏もあってそこでサンマを焼いて食べたりして楽しかったですよ。それで、何とか旧本堂を山の上に移築しようとしていましたが、残念ながら開発許可と資金の関係で壊さざるを得ませんでした。その頃からいずれは古民家をって考えはあったんです。まだ奥に地元の古民家が1棟残っているんですが、材があまり良くないんです。この辺りは松材が多いものでね。材はあまり良くないけど、やっぱり古民家を利用して人が集まる場所を造るのが、今行っている里山再生活動に必須でしょうから、何とかできないものかとずっと思っています。
 そんな折、古民家再生のウェブサイトをあちこち見ていて保川建設を知ったわけです。うちには、新伽藍計画づくりに多大なご助力をいただいた東京の寺院住職の葬儀で使われた木材をご寄付いただいており、古民家移築をあきらめた段階で、この材料を使って薬師堂を建ててくれる建築業者を探していたんです。ところが、みんな材木屋さんで木材を買ってきて、工場でプレカットして建てるという業者ばかりで、今時、ストックされた材を活用してくれる業者って本当に少ないんです。千葉県は東京に近いせいか特に少ないですね。それで保川さんのウェブサイトを見つけた時に、この会社なら薬師堂もやってもらえるんじゃないかと思ったわけです。そこで会社を訪ねたんだけど、すると大きな倉庫がいっぱいあってね、しかも会長が大工さんだと知って、これはやってもらえるって確信しました。
 
古民家の材料とかがあって、そうした古材を有益に使ってもらえる建築会社ってもうほとんどないんだと思い悩んでいた矢先のことで、これはいい出会いでした。

この伽藍(寺院の建物の総称)ですが、もともとのデザインはある建築士がCGで創ったんです。建築士というよりどちらかというとプランナーですね。いろんなところの新都心構想とかに関わっていたようなプランナーの方で、ここもCGでデザインして、ほぼその通りのイメージに仕上がっています。
   
この庫院は奈良の唐招提寺の僧房をイメージしてCGで再現し、また、清白寺という山梨県に国宝の仏殿があるんですが、それをそのままCGでここに据えるわけです。で、実際に建てる際には鳥瞰図とかいろいろなものを参考に修正していくんです。その修正をやりすぎて、大工さんが回廊屋根は傾斜が少なすぎて雨漏りするから、もっと傾斜を取ってくれといっても、このプランナーは絶対にゆずらない。
   
これ以外の傾斜で造るとうまくはまらないこともあるし、使い勝手がいいように作り直すのでは意味が無いって絶対に妥協しないんです。そんなことを経てでき上がったんです。30人が快適に過ごせるように、そして10人が修行できるようにというのがこの寺の設計コンセプトです。これからはお寺に多勢の人が集まる時代はこないだろう、だけどその10人に対して心のケアとか、精神的なリフレッシュというものを提供するならばインパクトもあるし、需要もあるだろうってね。まあ、こういうことを考える設計士が造ったんです。

さらに、ここを山寺にするならお手伝いするけど、都会にあるような便利な寺にするならやらないって言われるんです。だからここ、寒いし、暑いし、不便だし、過ごしにくいことこの上ありません。その上、庫裡(住職や家族の住居)は全部隠せ、せっかく来てくれた人が生活の臭いを嗅いだんじゃ休まらないだろうって言うんです。だから庫裡には窓がないんです。こうして生活臭を消しているんです。
書院も基本的にはこういうコンセプトを延長して造ってあります。だからお寺としては決して広くはありません。不便ですしね。

以前は下から登る参道を木々が覆っていたんです。それで暗い道を登って来て、暗いところから寺に入ってパーっといっきに視界が開けるというのがウリで、感動を与えられるのが良いところで、そういう物語を考えながら造ってあるわけです。
そして今度は薬師堂ですが、私のコンセプトをふんだんに入れて造ったんですが、良いものができたと思っています。これがこの寺の集大成ですね。伝統的な使い勝手を残しながらかなり近代化させています。それでいて聖地といいますか、仏様が住まう場所にふさわしいものができたなって思います。

ここはもともとエコ寺院にしようというコンセプトでした。それで建物の材はみんな集成材を使っています。集成材を使うっていうのは、大木の保護という観点から大きなインパクトを与えられるんじゃないかと考えたわけです。たとえば、東大寺大仏殿の再生が間もなく始まると思いますが、そこで使われるような木ってもうないんですよ。あってももう神木になっていて使えない。そうすると集成材であれば大木の代わりができるんじゃないかってね。でも実際は考えるほど簡単ではなかったですけど。
それと、ここは北向きという最悪の斜面なんです。本来だったらこういうところには建築すべきじゃないんです。考えた結果、敷地北側の伽藍を浮いて見えるように造り、北の景色を消して、すぐ後ろに山があるように見せる。さらに、北の方に八幡神社があって、反対側には山のてっぺんがあるんです。この南北のラインを結んで、それに対してどのくらい傾斜をつけるといい感じになるかと計算して整えたわけです。その神社には大きなご神木が2本あって昔から拝まれる聖地になっていて、いっぽう山のてっぺんというのは聖地ですから、聖地と聖地を結んだその線上にこの寺をもって来たわけです。そうすることで北向きといういやな部分をここで受け止めているんです。風水で言うとね、北側は山、東は川(水)、西は道、南は広場となっているんです。だからそういうものも計算してやったわけです。風水って信じてるわけではありませんが、参考にはなりますからね。
(後編に続く)

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