保川建設株式会社

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Topicsお知らせ

2017.08.23

施主様インタビュー 御宿から木更津へ古民家移築再生 S様

インタビュー

 

どのようなきっかけで、この家を建てることになったのですか?

この家、実は新築部分と古民家の移築再生部分が組み合わさっているんです。もともとはこの土地に二人で6坪くらいの家を建てようかと、考えていたんです。そんな時、子供の頃よく遊びに行った御宿に、大正末期か昭和の初めに祖父(注:ご主人方)の建てた古い家があったんですが、もう壊れかかっているので取り壊してしまうという話が出てましてね。それなら大黒柱の1本でもいただいて新しい家で使わせてもらおうなんて思っていたんです。こんな事情を初めてお会いした時に保川建設の会長さん、社長さんにお話ししたら、会長さんにじゃ早速見に行ってみましょうと言われ、連れ立って現地に行ったわけです。すると、会長さんが「これ、丸ごと使えますよ」って。その一言で急遽予定変更、移築再生をすることにしました。そもそもこれが、このような家を建てることにした本当の話なんです。

 

その時、家の状態はどうだったんですか?

この移築した家、1925年頃に建てられたわけですから築約90年になるんです。御宿にあるときは何回か遊びに行ったりして見ていました。でも、誰も住んでいない状態が長く続き、傷んでいるようで、まさかこの家が再生できるなんて考えも及びませんでした。御宿では海からの風をまともに受けるところに建っていたので、丈夫に造られていたみたいで構造体がしっかりしていたようです。だから保川さんのようなプロの目からは、再生できるって即断できたんでしょうね。

 

出来上がった家は当初の予想通りでしたか?

当初、移築再生なんて全く想定していなかったことなので、正直のところ困ったなあなんて思ってました。(笑)なかなかイメージがわかなくて。それで、会長さんがこれはなんにもいじらないほうがいい、っておっしゃるので、じゃ素人があれこれ言うよりもう全部お任せしちゃおう、なんて開き直って。出来上がってみたら移築部分と新築部分がうまく組み合わされていて、とても機能的な家に仕上げていただけました。思った以上に住み心地がいいのにびっくりです。全部お任せして大正解でした。

 

実際にお住みになってみていかがですか?

家を建てる前は、いろんな方から古民家は住みにくいよって話をよく聞かされてました。すきま風はあるし、とにかく冬は寒いし、見た目はいいけど実際に住むにはちょっとねえなんて。だから覚悟はしてたんですが、住んでみてそれはすべてひっくりかえりました。杞憂に過ぎなかったんです。夏は南から北にいい風が吹き抜けてくれて涼しくって、全くエアコン要らずです。念のためエアコンもつけてありますが、まだいちども電源を入れたことありません。そして心配だった冬ですが、これが暖かなんです。今日(注:2/18のインタビュー日)はこの冬一番の寒さ、なんてニュースで言ってますが、それでもこの火鉢一つと隣室の小さなオイルヒーターだけでこの暖かさなんです。本当に光熱費がかからない。うれしくなっちゃいますね。

 

このリビングは大きなガラス戸が印象的ですね。

最初は床暖房にしたらなんて言われもしましたが、私(注:奥様)は電気でもガスでも余計なことには使いたくない性分で、簡素で、シンプルな暮しがしたかったもので床暖房にはしなかったんです。でも今、すごく暖かいってわけではないんですが、寒くはない、これでいいんです。夜中に起きても、朝起き出しても寒くはありません。すきま風はないし、ガラス戸はみんな二重ガラスなので断熱効果がいいのかもしれませんね。今日はあいにく雨空ですが、晴れているとガラス戸越しに陽がふりそそぎ温室みたいになっちゃいます。とにかく住んでみての感想といいますか、セールスポイントは夏涼しく、冬暖か、ということに尽きますね。全くの想定外でしたが(笑)。

 

新居ではどんな暮らしがお望みだったんでしょうか?

もともと私(注:奥様)はモノを捨てたりするのが嫌いですし、買うのも好きじゃないんです。なんて言うか、使い捨てみたいな暮らしはしたくないし、ゴミを出すのも嫌なんです。ここへ来て生ゴミは庭に置いたコンポストでリサイクルとか本当にゴミは出さなくなりましたね。気持ちの上ですごくいいです。買い物だってこのあたりはマイバッグでできますし、最小限のゴミしか出さないってとっても嬉しいことですね。さっきも言いましたが、とにかくシンプルな暮らしがしたかったので家そのものもシンプルにしたんでちょっと不便かな、って心配しましたが、掃除はしやすい、ゴミは減る、もう嬉しいことづくめです。

 

保川建設とはどこで出会われたんですか?

話はちょっと前後しますが、保川さんとの出会いには不思議なご縁を感じるんです。実は私(注:奥様)の叔父が茂原に住んでまして、新築の相談に行ったんですが、既に亡くなっていまして、急遽お墓参りに変わっちゃったんです。お墓は藻原寺ですが、その時偶然保川さんの看板が目に入ったんです。実 はその前からどこか良い建築会社はないかとネットとかで調べたりしてたんです。それで民家再生の保川建設という情報は持ってはいました。で、お墓参りのついでに保川さんにお電話したところ、じゃお話しお聞きしましょうか、ということになって会社に伺ったわけです。初め会長さんと話していた時に以前解体した古民家のキットがありますよって、言われたんですが、予算もあるし、土地の広さも合わなかったのでとお断りしながら御宿の家の話をしてみたんです。そしたら即刻、じゃ見に行ってみましょうってことになったんです。それからは話がとんとん拍子に進んで、ある日、お墓から保川さんの会社に向かう道中、「そこの角を曲がって虹が出ていたら、この話は本物だね」なんて言ってたら本当に虹がかかっていたんです。運命を感じましたね。叔父さんのお引き合わせだなんて。

 

これから家を建てる方へのアドバイスをお願いできますか。

今住んでみて思うことは、絶対に再生がおすすめっていうことです。例えばこの家、新築だけでは出せない実にいい味を持っているんです。朝、目がさめるといつも思うんです、あゝ、いい天井だなあって。そして大阪障子、これがまたいいんですよ。雨戸も、杉板ですが朝日が当たるとぱあ〜っとオレンジ色に燃え立つんです。木目の模様に従って変化するんですね。朝からこんな気分になる家って最高です。そして家の中の空気が優しい。これは土壁のせいでしょうが、土壁はおすすめですね。お金も、時間もかかりますが、絶対におすすめしたいですね。体に優しく、アレルギーが出ない。それと外出から帰ってきて、ドアを開けた時の空気がなんとも言えずいいんです。きっと漆喰がうまく空気を循環させていい状態に保ってくれてるからでしょうね。モワ〜っとしたところが全くないんです。香りもまたすごくいいですしね。最初の数ヶ月は木のいい香りがすごかったです。いまだにお風呂は桧のいい香りに包まれています。

 

内壁の土壁づくりにはいわくがあるって聞きましたが・・・

この土壁にはまたちょっとしたエピソードがありましてね。最初、ここで会長さん、社長さんを交えて さてどんな家にしようかと打ち合わせていたんですが、その時たまたま竹小舞の話が出て、こちらはそれは当然、みたいな感じで話しをさせてもらったんです。そしたらお二人が同時にえ〜ッてびっくりされるんです。予算とか、時間とかを考えてのことだったんでしょう。それで、それなら自分たちで家族や友人、知人を集めてやっちゃいますって提案したんです。ワークショップみたいにして。でも、それが実際にフタをお開けてみたら、保川さんが現代の名工に選ばれた名左官屋さん、一宮の福辺さんを連れて来てくださってね。若い衆もたくさん来て壮観だったです。そうして素晴らしい土壁が出来上がったわけです。

 

勇気がおありだったんですね。

私たち古民家とか、再生とかでは壁は当然のことながら土壁と思っていたんです。でも、必ずしもそう じゃないと知った時はびっくりでした。私たちこんな具合で古民家再生の知識や情報をおまり持ち合わせていませんでした。でも逆に、怖いもの知らずで土壁にしよう、なんて考えたわけです。でも、それが良かったんですね。結果としてこんないいものができちゃったわけですから(笑)。とはいえ、私たちの無茶苦茶を聞いてくださった保川さんと出会えたのが何よりだったと思います。
実際に保川さんに手掛けてもらって、こちらの予想以上に手を尽くしてもらえたなって思います。初めて保川建設を訪ねた時のイメージは古民家のノウハウを豊富に持っていて、会長さんも、社長さんも本当に信頼に足る方々だなと思いました。それは正解だったし、棟梁や他のいろいろな職人さん方もみんな一流の方ばかりで、保川さんでよかったなあって心から思っています。

 

 


インタビューの途中、ふと庭を見ると、たくさんのスズメに混じって鳩より少し小さめの、背中が濃い緑色でお腹がオレンジ色の野鳥が餌をついばんでいた。このように庭には何種類もの野鳥がやってくるのだという。これから春が来て、花が咲き、新緑の頃を迎えると、この家は冬とはまた違った表情を見せてくれるのだろう。そして、住むにつれて、年月とともにどんどんいい味を醸し出してくれるに違いないと感じさせてくれました。
(聞き手:アットホームパソコンサロン/この記事は平成27年2月18日にインタビューしたものです)